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研究発表
私立マーモントフ劇場における演出改革と人的移動
概要
これまで私立マーモントフ歌劇場は、上演レパートリーにおいて西欧志向であった帝室歌劇場とは対照的に、「ロシア五人組」のオペラを集中的に上演したことにより、ロシア・オペラの普及に貢献したと評価されてきた。特に、リムスキー=コルサコフのオペラが帝政批判の性格を有していることに依拠して、同劇場を帝室劇場の対抗馬であるナショナリスティックな劇場として捉える傾向が見受けられる。本論では、この見解について、リムスキー=コルサコフのオペラ創作に関する意図、私立マーモントフ歌劇場の創立者であるマーモントフが行った演出改革の背景、私立マーモントフ歌劇場・帝室歌劇場・地方の市立歌劇場間におけるオペラ関係者の移動に注目しつつ、検証を試みる。
発表者プロフィール
日本学術振興会特別研究員(PD)(東京藝術大学音楽学研究科)及び早稲田大学オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。
東京外国語大学ロシア語学科を経て、一橋大学大学院言語社会研究科にて博士号(学術)取得。19世紀末から20世紀初期のロシアにおける、古儀式派の芸術メセナに注目し、彼らが経営していた私立歌劇場のオペラ上演活動を研究テーマとする。現在日本学術振興会特別研究員PD(東京藝術大学)。早稲田大学オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。日本音楽学会会員。オペラ《光太夫》日本・ロシア公演プロジェクト実行委員。CD「ラフマニノフを聴きたくて~心から心へ ラフマニノフ珠玉の作品集~」(Musicaindo)監修。
※プロフィールは発表当時のものです
開催記録
Presentation
The Reforms of Stage Production at Moscow Private Opera and the Interchanges of Personnel and Repertoire
Abstract
This project reconsiders the “neo-nationalistic” character of Moscow Private Opera by examining the reforms of stage production at Moscow Private Opera and the interchanges of soloists, conductors, directors and repertoire among Moscow Private Opera, the Imperial Theaters and opera organizations in provincial areas.
Profile of Presenter
JPhD (musicology) / Research fellow, Japan Society for the Promotion of Science/ Adjunct researcher at the Waseda Institute for Research in Opera and Music Theatre.
Current research fields: the history of artistic patronage of Russian Old Believers, particularly their private opera theaters from the end of the 19th century to the early 20th century. Executive committee member for the project organizing performances of opera “Kodayu”, which is a joint production of a Japanese opera singer Eiko Aoki (1919-2010) and an Azerbaijani composer Farkhang Gousseinov (1948-2010).
*As at the date of meeting