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研究発表
團伊玖磨の「日本人性」―オペラ《ひかりごけ》を中心に―
概要
團伊玖磨は第二次世界大戦後に活躍した作曲家のなかでもとりわけ「日本人の音楽」に関心を持った人物であった。ただしその「日本人性」は、團自身の残した言説の影響もあって、表面的に捉えられることが多かった。とりわけ彼のオペラ創作については、しばしば《夕鶴》や《ちゃんちき》といった民話的なものが採り上げられ、方言の音楽化、和楽器の使用といった可視化されやすい面が「日本人的」と評価されてきた。しかしながら、團自身が「日本オペラの作曲家として自立の第一歩を果たした」と評しているのは四作目の実事件に基づいたオペラ《ひかりごけ Luminous Moss》(原作戯曲:武田泰淳)であり、実際この作品には團伊玖磨と西欧のオペラ作曲家達との本質的な音楽性の共通点および相違が窺える。本論では《ひかりごけ》の楽曲分析を中心に、團伊玖磨が西洋のオペラの伝統を吸収しつつも、いかに「日本人的」な音楽時間を創出したかを考察する。
発表者プロフィール
早稲田大学オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。東京藝術大学音楽学部楽理科を経て、同大学院にて音楽学博士号取得。フリーランスの演出家として活動する傍ら、近現代のオペラ演出やワーグナーの楽劇を中心に、研究を続ける。これまでに帝京科学大学非常講師などを務め、現在東京藝術大学音楽学部音楽総合研究センター教育研究助手。日本音楽学会会員。
※プロフィールは発表当時のものです
開催記録
Presentation
The “Japaneseness” of Dan Ikuma: focused on his Opera Luminous Moss
Profile of Presenter
Assistant of Tokyo University of the Arts and Adjunct Researcher of the Waseda Institute for Research in Opera and Music Theatre.
*As at the date of meeting