早稲田大学 総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所
Waseda Institute for Research in Opera and Music Theatre (WIROM), Comprehensive Research Organization,Waseda University
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2023年5月、日本の演劇カンパニーであるチェルフィッチュとロンドン在住の作曲家藤倉大はウィーン芸術週間からの委嘱を受け新作音楽劇『リビングルームのメタモルフォーシス』を発表した。この作品でチェルフィッチュ主宰の岡田利規と藤倉は、演劇と音楽のいずれか一方が前景/後景にあるのではなく、双方が舞台上に対等に存在することを目指してクリエーションを行った。本発表では、同作品のドラマトゥルクとして作品制作に関与した発表者の立場から、音楽劇における演劇と音楽のバランスについて論じる。約3年にわたる創作プロセスを振り返り、作り手側の思想は観客にどのように受容されたのか、公演評も参照しながら検討する。また2021年に岡田が演出したオペラ『夕鶴』の事例も参照し、オペラと音楽劇における音楽の位置づけの在り方の違いについても考えたい。
Dr. Árni Ingólfsson’s Special Lecture
“Japanese Music in Iceland, and the Influence of Japanese Music on Contemporary Icelandic Composers”
現代アイスランド音楽に対する日本音楽の影響の実態について、アイスランドの音楽学者アルニ・インゴルフソン氏が講演を行う。具体的には、①1960年代にアイスランドのラジオで團伊玖磨や武満徹の作品、横山克也の演奏が放送され、アイスランド市民が日本の伝統音楽に関心を抱いたこと、②1970年代からアトリ・スヴェインソン(1938-2019)やトルケル・シグルビョルンソン(1938-2013)などアイスランドを代表する現代音楽作曲家の作品において日本音楽の影響が明確に表れ始めたことに関する内容である。講演の際にはスヴェインソンの《フルート協奏曲》やオペラ《The Silk Drum》(1980年)など具体的な作品を取り上げ、実際に映像や音源を再生しながらアイスランド音楽と日本音楽(特に日本の能《綾の鼓》)の比較分析を行う。そのうえで、このような影響関係が日本人作曲家とアイスランドの演奏家たちとの緊密な交流のもとで発展していったこと(細川俊夫とニューミュージック・アンサンブル「カプト」)、映画業界などにおいても反映されていること(坂本龍一の音楽にインスパイアされた『ジョーカー』、『タール』の作曲家、及び2020年アカデミー賞最優秀映画音楽賞受賞のヒルドゥル・グィズナドッティル)について注目する。
アルニ・ヘイミル・インゴルフソン:アイスランドの音楽学者で、ハーバード大学で歴史音楽学の博士号を取得(2003年)。現在レイキャヴィーク・アカデミー主任研究員。主な関心領域は中世から現代までのアイスランド音楽史で、アイスランド音楽に関する複数の著書がある。特に“Jón Leifs and the Musical Invention of Iceland”(インディアナ大学出版、2019年)は、『ニューヨーカー』誌のアレックス・ロスによって、その年の音楽に関するベストブックの1冊に挙げられた。また近著に“Music at World’s End: Three Exiled Musicians from Nazi Germany and Austria and Their Contribution to Music in Iceland” (SUNY Press, 2025)がある。2025年1月にはBBC Radio3の“European Road Trip: Early Music in Iceland”で13世紀以降のエッダに基づくアイスランドの教会合唱音楽について語っている。ピアニスト、チェンバリスト、指揮者としても欧米を中心に活躍しており、2003年にはカルミナ室内合唱団を創設し、10年間指揮者と芸術監督を務めた。彼の指揮のもとで合唱団は17~18世紀のアイスランドの古写本から音楽を集めた2枚のCDを発表し、いずれもアイスランド音楽賞の最優秀CD賞を受賞している(2008年と2011年)。
聴講料無料です。2025年4月23日までに下記のリンクより事前参加登録をお願いいたします。
ポスターPDFは こちら
lecture-opera[at]list.waseda.jp
※お手数ですが、[at]を@におきかえて入力ください
本シンポジウムは、大正期の浅草オペラにおいて上演された舞踊(バレエ、バレー)に注目するものである。1911年に開場した帝国劇場では、日本人を対象に初めてバレエ指導がなされたが、その養成機関である歌劇部からは、G.V.ローシーの徹底指導により舞踊家が輩出された。また後のローヤル館とあわせ、ローシーから指導を受けた者の多くが浅草オペラにて舞踊を盛り立てた。さらに多くは、その衰退後も舞踊家として活躍した。
本シンポジウムでは浅草オペラにおける舞踊(バレエ、バレー)を中心に、その前史を担ったとも言えるローシーについて、そして浅草オペラ後に展開した活動の場の一つである少女歌劇についても取り上げる。
第1部 開会挨拶 石井道子(早稲田大学 本研究所所長)
基調講演 小針侑起(芸能史研究家)
「浅草オペラ舞踊家によるその後の活動―レビュー界を中心として」
第2部 講演① 山田小夜歌(京都精華大学 本研究所招聘研究員)
「G.V.ローシーが日本に伝えたバレエーイタリア、イギリス時代の実践歴と帝劇での仕事を中心に―」
講演② 杉山千鶴(早稲田大学 本研究所研究所員)
「浅草でバレエを観た」
講演③ 中野正昭(淑徳大学)
「浅草オペラのバレエ場面―オペラ座にみる小松耕輔・石井漠のバレエ演出―」
ディスカッション
閉会挨拶 杉山千鶴
司会:大西由紀(大東文化大学 本研究所招聘研究員)
2025年3月13日(木)までに以下よりお申し込みください。
https://forms.gle/yYWN7g4DTiPNp25f9
ポスターPDFは こちら
asakusaopera-sympo[at]list.waseda.jp
※お手数ですが、[at]を@におきかえて入力ください
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発表概要:
本発表は、「観光音楽劇」について議論する糸口として、日本の温泉地におけるレビュー形式のショーをジャンル横断的に検討する。宝塚歌劇や劇団わらび座を挙げるまでもなく、各地の温泉で音楽劇が上演されてきたことは自明であり、それぞれの事例の作品や上演団体に関しては研究が進められている。他方で、それらの実践を包括的に扱う視座は、従来の研究にほとんど見られなかった。しかし近年、演劇学分野では、演劇と観光の相関を捉え直す観光演劇学のアプローチが活発化している。音楽学分野では、たとえばテュービンゲン大学共同センターでイギリスの公衆浴場・温泉街を対象としたプロジェクトが展開されており、上演の場としての温泉地を論じる機運は高まりつつある。そこで本発表では、まず音楽学・演劇学の双方における「観光音楽劇」論の前提となるような研究動向を確認する。その上で、少女歌劇・大衆演劇・バラエティショー等の実践事例から、多ジャンルの音楽が交差し異なる属性・関心・音楽経験を持つ人々が演者・観客として相互作用する場として、温泉地の劇場文化が歴史的に果たしてきた役割を考察する。
<発表者プロフィール>
京都芸術大学芸術学部専任講師。東京藝術大学大学院音楽研究科博士課程修了。博士(音楽学)。専門は日本近現代音楽史。早稲田大学高等研究所講師等を経て現職。共著に細川周平編『音と耳から考える:歴史・身体・テクノロジー』(アルテスパブリッシング、2021年)、永冨真梨・忠聡太・日高良祐編『クリティカル・ワード ポピュラー音楽 :〈聴く〉を広げる・更新する』(フィルムアート社、2023年)など。近年は特に、温泉地で歴史的に実践されてきた音楽・芸能をテーマとしている。
司会者:山田小夜歌
コメント:21名の参加者があった。
問合せ先
早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所:https://prj-opera-mt.w.waseda.jp/
e-mail address: operaken-uketsuke[at]list.waseda.jp ([at] = @)
Waseda Institute for Research in Opera and Music Theatre (WIROM), Comprehensive Research Organization, Waseda University
contact
Waseda Institute for Research in Opera and Music Theatre (WIROM), Comprehensive Research Organization, Waseda University: https://prj-opera-mt.w.waseda.jp/
e-mail address: operaken-uketsuke[at]list.waseda.jp ([at] = @)
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