ワーキンググループ(WG)活動報告会 [2016年度]
発表内容と報告
1.「オペラ研究の諸問題」WG
1) ヴァーグナーの総合的研究
2016年10月時点で計13回の研究会を開く。2015 年度前半はヴァーグナーの受容史に重点を置いた文献を、2015年度後半~2016 年度前半は『オペラとドラマ』を中心にヴァーグナー自身の著作を講読するとともに、例会発表者の予行演習(《恋愛禁制》に関する発表)も行った。2016年度11月以降は、事典やハンドブックなどからヴァーグナーに関連する項目を選び、互いに講読・発表を行う予定。
2) オペラ・ステージング
2015年度は David Levin, Unsettling Opera, Staging Mozart, Verdi, Wagner, and Zemlinsky の講読と、WGの趣旨に沿ったテーマ(「オペラ演出における身体表現」等)による研究発表を行う。2016年度前半はソクラテス・プロジェクト準備に専念。2016年度後半は再びWGの趣旨に沿った文献講読・研究発表を行う予定。
3) オペラ、メディア、テクノロジー
これまで全7回の文献講読会を実施。講読文献については報告会参加者にリストを配布。特定のオペラ作品やオペラジャンルに限定した文献に留まらず、メディア論、映画論を扱った文献をも読み進める。また文献内容の例として、講読会中に実際のオペラ映像(映画を挿入したオペラなど)を観る機会も設けた。
4) オペラとダンス
現在計7名で全8回の研究会を開催。所属メンバーが比較的多数で各メンバーの専門も異なるため、2015年度はフランス、ロシア、オーストリア(ウィーン)を中心に、幅広い地域を対象としたオペラと舞踊の研究発表を開催した。2016年度は講読文献を絞り、前期はDaniel Albright, Golden Calves: The Role of Dance in Operaを講読。
2.「ドイツ語、フランス語、イタリア語によるオペラ研究文献講読」WG
1) オペラ研究文献講読WG(1)
現在まで、フランス語文献の講読会とドイツ語文献の講読会を、毎週水曜日に時間を区切る形で開催。専門分野を異にするメンバーが、対象文献を多様な角度で精読することにより、各メンバーのオペラへの理解がより深まることを意図する。
2) オペラ研究文献講読WG(2)
これまで「越境とアマルガム―『19 世紀の首都』パリのオペラ文化」をテーマに、全10回の文献講読会を開催。講読対象となった文献については報告会参加者にリストを配布。グランド・オペラの社会的背景とポリティクスについて、フランス出身でないオペラ名作曲家(ヴェルディやワーグナーなど)のパリでの影響についてなど、テーマに沿った文献が選ばれた。
3. 歌劇の上演状況に関する研究:歌劇場プログラムのデータベース化に向けてWG
現存するオペラおよび歌劇場関連のデータベースを参照したうえで、2015年度末に冊子形態で発行した当WG研究報告の紹介と、2016年11月19日(土)に開催を控えたワークショップ「コンサートとオペラを学際研究する」の紹介を行う。今後もデータベースの構築・公開、研究成果の公表に向けて、定期的なミーティングとメールでのやりとりを続ける予定である。
4. バロック・オペラWG
本WGは 2016年に立ち上げた新しいWGであるため、現在までは全4回のミーティングで具体的な活動内容や今後の活動方針について議論している。所属メンバーにイタリア・オペラの専門家が多いため「モンテヴェルディ・プロジェクト」の立ち上げを視野に入れている。
開催記録
質疑応答
特に新WGである「バロック・オペラWG」については、研究対象についての質問・議論があった。「バロック・オペラ」そのものがその範疇・定義を決定しかねる用語であり、今後所属メンバーの研究内容と従来のオペラ研究成果とを照らし合わせたうえで、綿密に活動方針を検討してゆく必要がある。