Monthly Regular Meeting, January 2026 (233rd Meeting of the Opera Research Group)
English follows Japanese
《アルルの女》(1872)と《カルメン》(1875)にみるビゼーの劇場作品の創作動向:落合美聡
発表要旨
ジョルジュ・ビゼー(1838–1875)の代表作には、《アルルの女》(1872)や《カルメン》(1875)が挙げられる。両作は初演された劇場も上演ジャンルも異なり、前者はヴォードヴィル座のために演劇付き音楽として、後者はオペラ・コミック座のために台詞付きオペラとして創作された。一方、いずれも散文劇の上演を基盤とし、劇場制度の枠組みの中で舞台表現を追求した点で共通している。加えて、両作とも初演は高い評価を得られず、上演形態を変えながら徐々に受容されてきたことも類似する点である。しかしこれまで、《アルルの女》と《カルメン》の創作上の連続性や関連性を明らかにした研究はほとんど行われていない。そこで本発表では、同時期に手がけられたこれら2作品を対置し、ジャンル規範の差異を踏まえつつ、その創作の連続性を探る。具体的には、初演当時の劇場制度や初演評の検討から、各作品がいかに成立し、どのような特性を備えていたかを明らかにする。そのうえで、同時期におけるビゼーの表現手法の展開および創作上の繋がりを検証することを目指す。
開催概要

- 日 時:2026年1月17日(土)16:30-18:00
- 場 所:早稲田大学西早稲田キャンパス54号館204教室 およびZoom配信
- 発表者:落合美聡(早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所)
- 司会者:野田農(早稲田大学)
- 言 語:日本語
- 主 催:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所
- コメント:24名の参加があった。(会場7名、オンライン17名)
発表者プロフィール

武蔵野音楽大学大学院博士課程修了。博士(音楽学)。早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。専門は19世紀フランス・オペラ史、とりわけジョルジュ・ビゼー研究。2025年東京春祭ディスカヴァリー・シリーズvol.11「ジョルジュ・ビゼー──没後150年に寄せて」ではナビゲーター、プログラム原稿執筆、歌詞対訳を担当し、東京藝術大学演奏藝術センター主催「藝大プロジェクト2025」の《アルルの女》の上演では学術アドヴァイザーを務めた。
東京藝術大学音楽学部声楽科卒業、お茶の水女子大学大学院博士後期課程を修了(博士、人文科学)。日本学術振興会特別研究員、お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所特別研究員などを経て、現在エリザベト音楽大学講師。研究対象領域は、G.ヴェルディを中心とする19世紀後半のイタリア・オペラの劇作法とその受容。近年の論文は「歌劇《シモン・ボッカネグラ》の改訂における、台本詩行と歌唱旋律に対する修正の関係性」(『音楽学』69巻2号)など。幼児教育番組の楽曲における歌詞と旋律の特徴にも関心を持っている。

