2019年度6月研究例会(第181回オペラ研究会)

研究発表

『マノン・レスコー』のオペラにおける「聖女」マノン像 ―マスネの《マノン》を中心に―

◇発表者:笠原真理子
◇共催:[共催・後援など]
◇日時:2019年6月15日(土)16:30-18:00
◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 3号館 710教室
◇言語:日本語

概要

ファム・ファタール物語の原型として知られるフランスの小説『マノン・レスコー』(1731)からは、これまでに九つのオペラ作品が生まれている。このマノン・レスコーの物語は、マノンの恋人デ・グリューの解釈に基づいて語られており、肉体についての具体的な描写すらない彼女の実像は、読者にとっては不確かであり想像をかき立てるものといえる。この実像について九つのオペラでは多様な解釈がなされているが、特にそれらのオペラの中でもマスネ作曲のオペラ《マノン》(1884)でマノンが回心する聖女として描かれていることは、着目すべき特色といえよう。本発表では《マノン》のヒロインが聖女として描かれている点について、ベルエポック期の宗教的背景に照らし合わせた考察を行う。

発表者プロフィール

東京大学美学藝術学専修課程卒。同大学院文化資源学研究専攻修士課程修了、現在同研究専攻博士課程在籍。ミュンヘン大学における一年の留学を経て、「オペラ《タイス》における宗教的要素の演出」をテーマに博士論文を執筆中。本発表テーマに即した論文は「マスネのオペラ《マノン》における死の表象-赦しと楽園」(『死生学年報2017』, リトン, 2017.)。宗教学会、日本演劇学会、日本音楽学会、キリスト教文学会、キリスト教史学会、文化資源学会に所属。

※プロフィールは発表当時のものです


開催記録

参加者:16名

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