2018年度12月研究例会(第176回オペラ研究会)

研究発表

鑑賞から創作へ~オペラを題材とした「創作」型プログラムがもつ可能性

◇発表者:大野はな恵
◇日時:2018年12月08日(土)16:30-18:00
◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 3号館 702教室
◇言語:日本語

概要

本邦では、長年にわたって、子どもを対象とした鑑賞教室が行われており、90年代後半からは、より能動的な参加を求める「参加」型プログラムも行われるようになっている。昨今では、芸術家の表現手法を取り入れたワークショップが子どものコミュニケーション能力を養う教育方略の一つと見做され、計画的で継続的なワークショップを学校教育の一環として行うための制度基盤も整いつつある。オペラは、文化庁や企業メセナが主導する形で、60年代後半から鑑賞教室の対象となってきたが、参加した子どもがオリジナル作品を作り、実演していく「創作」型プログラムの例を見つけることは難しい。他方、米国メトロポリタン歌劇場や英国ロイヤル・オペラ・ハウス等は、70,80年代に「創作」型プログラムを始めており、欧米では現在でも盛んに展開されている。

本発表では、その嚆矢となったメトロポリタン歌劇場のプログラム“Students Compose Opera”を取り上げ、その教育的効果を論じる。また、ICTを活用した国際的な「創作」型プログラム“Global Science Opera”に参加した埼玉県立草加東高校の取り組みを分析する。本邦の教育現場に芸術表現の体験を方略として取り入れていくことの可能性を考え、課題を整理していく。

発表者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科にて博士(学術)を取得。内外の歌劇場で働くと共に、歌唱法や劇場が提供する教育普及プログラムに関する研究を進めている。現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員、早稲田大学オペラ/音楽劇研究所招聘研究員(2017年度~)、ロームシアター京都リサーチャー。

※プロフィールは発表当時のものです


開催記録

参加者:8名

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