English follows Japanese
第1部 オペラ/音楽劇のキーワーズ 第9回(16:00-17:00)
見張塔から眺め続けた宝塚歌劇
◇報告者:溝口祥夫
第2部 研究発表(17:10-18:40)
初期オペラ=コミックのドラマトゥルギー -公権力、観客との関係性をめぐって-
◇発表者:奥香織
◇日時:2015年12月12日(土)16:00-18:40
◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 22号館 202教室
◇言語:日本語
第2部 研究発表内容
18世紀初頭のパリでは公権力に認められた劇場は限られていたが、定期市においても非公認のままに演劇が行われていた。オペラ=コミックは公認劇場の圧力によって制約を受ける定期市の舞台で生み出されたものであり、誕生の経緯そのものに公権力とのせめぎ合いが認められる。台詞が禁止されるなかで、まずは観客が掲示された台詞を歌い、次に俳優が全編を歌う形式が試みられ、最終的に歌と台詞が混在する形式へと発展していくからである。形式の変容には観客の意向も反映されているが、初期のオペラ=コミック(あるいはその原初的なかたち)は特に観客を意識した作劇法となっている。例えば1714年のルサージュ作品は、虚構空間へと観客を引き込むメタシアトリカルな仕掛け、イタリア喜劇の類型的人物の特質を巧みに生かして観客を楽しませる作劇法を持つ。芸術的・美学的観点からは軽視されがちである生成期のオペラ=コミックについての検討がなされ、そのドラマトゥルギーとは上演・権力・観客との複雑な関係性を示すものであることが明らかにされた。
開催記録
2部構成
参加者:15名
質疑応答
ルサージュ作品に頻出するアルルカン(アルレッキーノがフランス化したもの)と同時代(あるいはその前後の時代)の公認劇場に登場するアルルカンの性質の相違・比較について、特に活発な議論がなされた。相違について、例えばイタリア人劇団来仏後にマリヴォー劇に頻出するアルルカンは、元来の性質が巧みに生かされながらも「洗練」され、身体性・道化性が薄れ、定期市舞台とは異なる様相を呈するとの回答がなされた。このテーマのほか、オペラ=コミックの変容や諸外国への影響など、さまざまな観点からの議論が行われた。
Series of “Keywords of Opera and Music Theatre,” No. 9
◇Presenter: MIZOGUCHI, Yoshio
Presentation
◇Presenter: OKU, Kaori
◇Time and Date: December 12 (Sat.) 2015, 16:00-18:40 (JST)
◇Venue: Classroom 202 in the 22nd bldg., Waseda University
◇Language: Japanese
Meeting Report
There were 15 participants.