2015年度5月研究例会 (第139回オペラ研究会)

English follows Japanese

研究発表

オペラ合唱の実践と理論 ―ドイツ語圏の場合―

◇発表者:長谷川悦朗
◇日時:2015年5月16日(土)17:00-18:30
◇会場:早稲田大学 国際会議場(共同研究室7)
◇言語:日本語

概要

オペラ合唱は研究が盛んであるとは言い難い対象の一つとして位置づけることができる。オペラの歴史は作品と作曲家を縦軸にしつつ記述される傾向が強いが、オペラ合唱の場合は様相が異なる。とりわけドイツ語圏の場合には、劇場に専属するオペラ合唱団がいかにして生成してきたかという制度面についての研究が先行してきた一方で、個別の作品における合唱部分がいかなる発展を遂げてきたかという様式面についての研究は遅滞している。もっとも隣国フランスにおいては早くも17世紀から、合唱はオペラの中で不可欠な要素とみなされ、そして18世紀にはグルックが主導者となり集団舞踊を伴う合唱が定着していた。その一方、ドイツ語圏ではヴァーグナー、イタリアではヴェルディにより、19世紀後半になってようやく本格的なオペラ合唱が揺るぎない地位を確立する。この事情は、現代のオペラ劇場専属合唱団員が劇場側と交わす契約に明記される「合唱オペラ」の演目群のほぼすべてが、19世紀後半以降のものであることからも演繹できる。こうしたオペラ合唱の実践の歴史を参照しつつ、近年の研究の状況を紹介するとともに、オペラ合唱の理論化の必要性を明確にすることが試みられた。


開催記録

参加者:17名

質疑応答(一部紹介)

「ドイツ語圏では民間でのアマチュア合唱の活発化とオペラ作品における合唱曲の本格化との間には相互影響関係が存在していなかったことが判明したという指摘があったが、20世紀は事情が異なるのではないか」という質問があった。これに対して、発表者の関心が19世紀末までに限定されていたため、20世紀に入ってから生じた変化については関知していない旨の回答があった。


Presentation

◇Presenter: HASEGAWA, Etsuro
◇Time and Date: May 16th (Sat.) 2015, 17:00-18:30 (JST)
◇Venue: Seminar Room 7 in the 18th bldg., Waseda University
◇Language: Japanese


Meeting Report

There were 17 participants.