「次回の研究会」カテゴリーアーカイブ

【開催案内】オペラ/音楽劇研究所 2025年度6月研究例会(第229回オペラ研究会)

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『ミュージカルにおけるリプライズの機能-諸作品に共通の作曲法に関する一考察』丸山瑶子

発表要旨

これまでミュージカルの楽曲分析研究において、音楽素材のリプライズは作曲法の一つとして注目されている。発表者もこれまで、短い旋律単位であれ、フレーズないし楽曲単位であれ、リプライズが劇の進行や台詞には現れない劇内容を表現する機能を果たしていることをLes Misérablesを中心に分析してきた。
しかし、しばしば指摘されるように、ミュージカルの楽曲分析研究そのものがあまり目立たない現状では、まだ各作品におけるリプライズの用途や、ミュージカル・ジャンル全般に共有される様式的特徴、およびその歴史的傾向は十分に明らかにされていないように思われる。
本発表では、はじめに既存研究に基づき、リプライズの多数の機能から一部を例示したのち、いくつかの作品に共通して見られるリプライズの用例に焦点を当てる。すなわち特に、登場人物の名前を歌うナンバーないし旋律のリプライズである。発表者は当該の用例を示し、物語内容と照らし合わせて考えられうるリプライズの働きを論じる。その上で、「名前」を歌うリプライズに関して、今後の研究で明らかにすべき諸問題を挙げる。

開催概要
  • 日 時:2025年6月14日(土)16:30-18:00
  • 場 所:早稲田大学西早稲田キャンパス54号館204教室 およびZoom配信
  • 発表者:丸山瑶子(東京藝術大学 専門研究員、慶應義塾大学他 非常勤講師)
  • 司会者:井上登喜子
  • 言 語:日本語
  • 主 催:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所
参加申込方法

Zoom参加者は事前登録が必要です。参加希望者はできるだけ前日の6月13日(金)までに以下のURLから事前登録をしてください。
URL:https://list-waseda-jp.zoom.us/meeting/register/fervKHhWQIODXIh_oh1o6A

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終了:オペラ/音楽劇研究所:2025年度5月研究例会(第228回オペラ研究会)

Monthly Regular Meeting, May 2025 (228th Meeting of the Opera Research Group)

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『バロック・オペラとギリシア古典』(大崎さやの・森佳子編著/辻昌宏・大河内文恵・森本頼子・吉江秀和著、論創社、2024年)合評会

発表要旨

『バロック・オペラとギリシア古典』は、2021年に開催したシンポジウムの研究発表をもとにした5編に書き下ろし1編を加えた論文集である。イピゲネイアは古代ギリシアの悲劇詩人エウリピデスの2編の悲劇の主人公として知られ、さまざまに翻案された後、ラシーヌの悲劇の成功により多くのオペラ作品で取り上げられた。本書では、イタリア、フランス、ドイツ、ロシア、イギリスの各地域において上演されたイピゲネイア主題、またはギリシア古典を主題とするオペラを、各地域の研究者が台本面、音楽面、上演面などから分析し、時代的な特徴や上演場所の地域性との関連を考慮に入れつつ検討した。以下が各論文の著者、題名、要旨である。

大崎さやの「イピゲネイア主題の18世紀のオペラ台本―ローマ、ウィーン、ヴェネツィア、ロンドン、パリで上演された台本を例に」
ギリシア悲劇に登場するイピゲネイアを主人公にヨーロッパ各地で書かれたオペラ台本を分析し、個々の特徴を述べた。

辻 昌宏「祝婚オペラとしての《シーロのアキッレ》」
メタスタージオ台本のオペラ《シーロのアキッレ》の生まれるきっかけと、その後、そのリブレットが初演とは異なる作曲家たちによって様々な機会に作曲された経緯と、バージョンによる主要な相違を明らかにし、祝婚オペラというカテゴリーを提唱した。

大河内文恵「18世紀のベルリンにおけるギリシア悲劇を題材とするオペラ:C.H.グラウンの2つの《イフィゲニア》を例に」
1728年ブラウンシュヴァイク、1748年ベルリンで上演されたグラウンの《イフィゲニア》を比較し、音楽史上の意義を考察した。

森本頼子「18世紀ロシア宮廷におけるオペラ・セーリア上演の実態:ギリシア悲劇を原作とした作品に注目して」
ラウパッハ、ガルッピ、トラエッタ作曲のギリシア悲劇主題のオペラを取り上げ、オペラ文化黎明期のロシアにおけるオペラ上演の一端を明らかにした。

吉江秀和「ヘンデルのギリシア悲劇に基づくオペラ《オレステ》の上演をめぐって」
《オレステ》は上演回数の少なさとパスティッチョを理由に低く評価されることが多い。本発表ではヘンデルが自身の劇団の歌手の技量を示すべくこの作品を上演した可能性を指摘する。

森佳子「グルックの《オリドのイフィジェニー》と《トリドのイフィジェニー》:新たなトラジェディ・リリックの誕生」
パリ・オペラ座で初演されたグルックの二つのオペラにおける、「観客の演劇的関心を逸らさない」ためのアプローチの違いについて明らかにした。

開催概要
  • 日 時:2025年5月10日(土) 16:30~18:00
  • 場 所:Zoom配信
  • 発表者:大崎さやの(東京藝術大学)辻 昌宏(明治大学)大河内文恵(東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校)森本頼子(名古屋音楽大学)吉江秀和(杏林大学)森佳子(早稲田大学)
  • 司会者:森立子(日本女子体育大学)
  • 言 語:日本語
  • 主 催:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所
参加申込方法

事前登録が必要です。参加希望者はできるだけ前日の5月9日(金)までに以下のURLから事前登録をしてください。
URL: https://list-waseda-jp.zoom.us/meeting/register/tQ1E275vRL6VpLGR0s6jyg

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