早稲田大学 総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所
Waseda Institute for Research in Opera and Music Theatre (WIROM), Comprehensive Research Organization,Waseda University
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萩原里香招聘研究員が、ご著書『コラーゴ — オペラ黎明期の舞台上演責任者』(法政大学出版局、2025年2月刊行)により、イタリアのフライアーノ財団主催の第52回 国際フライアーノ賞「第24回 イタリア語イタリア文学海外研究者賞−ルカ・アッタナシオ−」を2025年6月28日に受賞されました。受賞おめでとうございます。
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コメント:25名の参加があった。(会場6名、オンライン19名)
森本頼子招聘研究員が、ご著書『シェレメーチェフ家の農奴劇場 18世紀ロシアオぺラ文化史』(道和書院2024年)により、第57回日本演劇学会河竹賞奨励賞を受賞されました。受賞おめでとうございます。
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Dr. Árni Ingólfsson’s Special Lecture
“Japanese Music in Iceland, and the Influence of Japanese Music on Contemporary Icelandic Composers”
現代アイスランド音楽に対する日本音楽の影響の実態について、アイスランドの音楽学者アルニ・インゴルフソン氏が講演を行う。具体的には、①1960年代にアイスランドのラジオで團伊玖磨や武満徹の作品、横山克也の演奏が放送され、アイスランド市民が日本の伝統音楽に関心を抱いたこと、②1970年代からアトリ・スヴェインソン(1938-2019)やトルケル・シグルビョルンソン(1938-2013)などアイスランドを代表する現代音楽作曲家の作品において日本音楽の影響が明確に表れ始めたことに関する内容である。講演の際にはスヴェインソンの《フルート協奏曲》やオペラ《The Silk Drum》(1980年)など具体的な作品を取り上げ、実際に映像や音源を再生しながらアイスランド音楽と日本音楽(特に日本の能《綾の鼓》)の比較分析を行う。そのうえで、このような影響関係が日本人作曲家とアイスランドの演奏家たちとの緊密な交流のもとで発展していったこと(細川俊夫とニューミュージック・アンサンブル「カプト」)、映画業界などにおいても反映されていること(坂本龍一の音楽にインスパイアされた『ジョーカー』、『タール』の作曲家、及び2020年アカデミー賞最優秀映画音楽賞受賞のヒルドゥル・グィズナドッティル)について注目する。
コメント:23名の参加があった。
アルニ・ヘイミル・インゴルフソン:アイスランドの音楽学者で、ハーバード大学で歴史音楽学の博士号を取得(2003年)。現在レイキャヴィーク・アカデミー主任研究員。主な関心領域は中世から現代までのアイスランド音楽史で、アイスランド音楽に関する複数の著書がある。特に“Jón Leifs and the Musical Invention of Iceland”(インディアナ大学出版、2019年)は、『ニューヨーカー』誌のアレックス・ロスによって、その年の音楽に関するベストブックの1冊に挙げられた。また近著に“Music at World’s End: Three Exiled Musicians from Nazi Germany and Austria and Their Contribution to Music in Iceland” (SUNY Press, 2025)がある。2025年1月にはBBC Radio3の“European Road Trip: Early Music in Iceland”で13世紀以降のエッダに基づくアイスランドの教会合唱音楽について語っている。ピアニスト、チェンバリスト、指揮者としても欧米を中心に活躍しており、2003年にはカルミナ室内合唱団を創設し、10年間指揮者と芸術監督を務めた。彼の指揮のもとで合唱団は17~18世紀のアイスランドの古写本から音楽を集めた2枚のCDを発表し、いずれもアイスランド音楽賞の最優秀CD賞を受賞している(2008年と2011年)。
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2023年5月、日本の演劇カンパニーであるチェルフィッチュとロンドン在住の作曲家藤倉大はウィーン芸術週間からの委嘱を受け新作音楽劇『リビングルームのメタモルフォーシス』を発表した。この作品でチェルフィッチュ主宰の岡田利規と藤倉は、演劇と音楽のいずれか一方が前景/後景にあるのではなく、双方が舞台上に対等に存在することを目指してクリエーションを行った。本発表では、同作品のドラマトゥルクとして作品制作に関与した発表者の立場から、音楽劇における演劇と音楽のバランスについて論じる。約3年にわたる創作プロセスを振り返り、作り手側の思想は観客にどのように受容されたのか、公演評も参照しながら検討する。また2021年に岡田が演出したオペラ『夕鶴』の事例も参照し、オペラと音楽劇における音楽の位置づけの在り方の違いについても考えたい。
本シンポジウムは、大正期の浅草オペラにおいて上演された舞踊(バレエ、バレー)に注目するものである。1911年に開場した帝国劇場では、日本人を対象に初めてバレエ指導がなされたが、その養成機関である歌劇部からは、G.V.ローシーの徹底指導により舞踊家が輩出された。また後のローヤル館とあわせ、ローシーから指導を受けた者の多くが浅草オペラにて舞踊を盛り立てた。さらに多くは、その衰退後も舞踊家として活躍した。
本シンポジウムでは浅草オペラにおける舞踊(バレエ、バレー)を中心に、その前史を担ったとも言えるローシーについて、そして浅草オペラ後に展開した活動の場の一つである少女歌劇についても取り上げる。
本シンポジウムでは、近代日本の洋舞受容の一事例ともいえる大正期の浅草オペラに注目した。基調講演では浅草オペラで活動後、少女歌劇というショービジネスに場を移した舞踊家を数名敗り上げ、その門下生の活動についても迫い、系譜の成立を示すものであった。続いて1.帝国劇場歌劇部でパレエを担当したG.V.ローシーの来日前の活動と来日後の指導•活動、2.文字資料と画像資料の双方から浅草オペラにおけるバレエの実際を分析・考察したもの、3.バレエ演出の事例とその意義についての3演題の講演がなされた。続くディスカッションでは、浅草オペラに限定せずパレエそのものの漫透、海外の舞踊作品や留学経験の影響、美術との関連など、講演内容から大きく拡大したものであった。先述のように本シンポジウムでは対象を特化したが、来場者は音楽学、演劇学、舞踊学など幅広い学問領域にわたった。それは多岐にわたる質問に反映されているだけでなく、浅草オペラへ注ぐ多様なまなざしの存在を示しており、浅草オペラ研究の今後の発展の可能性と豊かな実りへの期待が確認された。
参加者数48名(学内:7名 学外:41名)
第1部 開会挨拶 石井道子(早稲田大学 本研究所所長)
基調講演 小針侑起(芸能史研究家)
「浅草オペラ舞踊家によるその後の活動―レビュー界を中心として」
第2部 講演① 山田小夜歌(京都精華大学 本研究所招聘研究員)
「G.V.ローシーが日本に伝えたバレエーイタリア、イギリス時代の実践歴と帝劇での仕事を中心に―」
講演② 杉山千鶴(早稲田大学 本研究所研究所員)
「浅草でバレエを観た」
講演③ 中野正昭(淑徳大学)
「浅草オペラのバレエ場面―オペラ座にみる小松耕輔・石井漠のバレエ演出―」
ディスカッション
閉会挨拶 杉山千鶴
司会:大西由紀(大東文化大学 本研究所招聘研究員)
ポスターPDFは こちら
asakusaopera-sympo[at]list.waseda.jp
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